2009年10月13日(火)18:58

チェコ政府はリスボン条約の再交渉を求める

ブリュッセル(AP)

EU改革リスボン条約をめぐる綱引きで、チェコのヴァーツラフ・クラウス大統領は自国の政府を従わせた。ヤン・フィシェル首相は火曜日、異論のあるベネシュ布告の存続を保証すべく条約に付帯条項を付けるというクラウス大統領の要求を支持する側に回った。これにより条約の再交渉が必須となる。この件で欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン委員は、ドイツのキリスト教社会同盟(CSU)も批准中断の共同責任があると非難した。同党はドイツの故郷放逐者からの財産返還要求に対するチェコ側の不安を煽ったのだ、とフェアホイゲン委員は述べた。

フィシェル首相はブリュッセルで、10月末のEU首脳会議ではこの懸念に対して方策が取られねばならないと語った。「EU首脳会議は付帯条項の一部となる政治宣言を協議すべきである。」

欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長はチェコ政府に対して、約束を守るよう呼び掛けた。チェコの憲法裁判所がリスボン条約に対する最近の提訴について憲法判断を行い次第、私たちは「チェコ共和国が約束を果たすものと期待している」とバローゾ委員長は述べた。

チェコの憲法裁判所は火曜日、審査を10月27日に開始すると発表したが、憲法判断の期日については言及しなかった。これにより、チェコの憲法判断が10月29日と30日のEU首脳会議の前に下りるという可能性は低くなった。外交筋によれば、EU議長国スウェーデンは、リスボン条約に定められたEU主要ポストの人選を首脳会議で決定するという希望をすでに放棄したとのことである。

チェコはEU基本権憲章の適用除外を求める

チェコ政府も1週間前の時点では、クラウス大統領は憲法裁判所のリスボン条約合憲判断が下り次第、批准文書に調印しなくてはならない、と述べていた。にもかかわらずフィシェル首相が大統領の修正要求を支持する側に回ったことは、首相の性格的な弱さが原因とみられる。

クラウス大統領は、第二次大戦後にチェコスロヴァキアから放逐されたズデーテンドイツ人が、リスボン条約に含まれるEU基本権憲章を根拠に、チェコ領に残されたかつての財産の返還を要求する恐れがあり、それゆえチェコは基本権憲章の適用除外を認めさせねばならないと主張している。

問題はそうした例外条項がリスボン条約の修正につながることにあり、修正された条約があらためて加盟全27ヶ国の批准を必要とする点にある。しかしチェコのフィシェル首相は、チェコ政府は他の加盟国に批准プロセスのやり直しを求めるものではないと強調した。チェコ政府はアイルランドの例にならった解決を期待している模様である。アイルランドは今年6月、交渉を通してリスボン条約に付帯条項を付けることを認めさせた。他の加盟国はこの付帯条項を次期EU拡大の際に批准する意向である。

CSUはフェアホイゲン欧州委員のインタビューに憤激

ドイツ出身のフェアホイゲン欧州委員はターゲスシュピーゲル紙Tagesspiegelに、私はリスボン条約が放逐ズデーテンドイツ人によるチェコ領の財産返還要求の根拠になるとは考えないと語った。あわせて社会民主党所属のファエホイゲン委員は、数十年もこうした不安をチェコに煽り、間接的にリスボン条約の発効阻止に手を貸したとしてCSUを非難した。CSUは「何年も前からズデーテンドイツ郷土団体の過激な立場の代弁者」となっている、とフェアホイゲン委員は述べた。一方CSUはこの非難を「政治的な八つ当たり」として退けた。

原題:Tschechische Regierung will Nachverhandlungen zum EU-Reformvertrag




ホームへ戻る